磁気表面プラズモン効果は、表面プラズモンの励起条件が磁界の有無により変化する現象です。磁気センサへの応用を視野に弱磁界で大きな磁気表面プラズモン効果を示す薄膜材料の開発を行っています。
○Gd-Fe薄膜を用いた磁気表面プラズモン効果
Gd-Fe合金スパッタ薄膜は幅広い組成で非晶質のフェリ磁性を示し、比較的良好な軟磁気特性を示します。磁気光学材料としても知られている材料です。表面プラズモンを励起するAg薄膜と組み合わせることにより、Gd-Fe薄膜を用いた磁気表面プラズモン効果の研究を行っています。Ag/Gd-Fe/Agの三層構造において5 kA/mの弱磁界において磁気表面プラズモン効果を観測しています。
○Mn-Znフェライト薄膜を用いた磁気表面プラズモン効果
Mn-Znフェライト薄膜は絶縁性軟磁性材料として知られています。良質なMn-Znフェライトの作製が重要です。極微弱磁界での磁気表面プラズモン効果の観測に向けて、Ag/Mn-Znフェライト二層薄膜の磁気表面プラズモン効果について研究を行っています。これまでに、大気、真空、窒素雰囲気中における熱処理条件の検討により、軟磁気特性を示すMn-Znフェライト薄膜を作製し、磁気表面プラズモン効果を観測しています。
○ビスマス鉄ガーネット薄膜を用いた磁気表面プラズモン効果
ビスマス鉄ガーネット薄膜は磁気光学効果の大きな材料として知られています。大きな磁気表面プラズモン効果を観測するために、有機金属分解(MOD)法を用いて良質な薄膜の作製条件について研究を行っています。ビスマス鉄ガーネット薄膜は非熱平衡相であり、MOD法における形成過程や良好に形成される機構は明確になっていないため、結晶形成過程を明らかにする実験も行っており、490℃の温度で結晶化することが有効であることを実験的に確認しています。また、結晶化する直前の状態が、結晶化に影響を及ぼすこともわかってきました。Ag/ビスマス鉄ガーネット二層薄膜において、大きな磁気表面プラズモン効果の観測を目指しています。
最近の成果
本研究は、公益財団法人JKAの自転車等機械振興補助事業の助成を受けて行われました